豆知識
高ナトリウム血症(ナトリウム過剰症)

高ナトリウム血症とは、体内のナトリウムが高く水分が不足している状態を言います。ナトリウムは細胞外液の陽イオンの大部分を占めており、全ナトリウム量の約80%は細胞外にあります。

 

生体適応により細胞外液の浸透圧は一定に保たれているため、ナトリウム濃度が上昇すると細胞外液が増加することで調整されます。つまり慢性の高ナトリウム血症では細胞外液が増加し、これが組織間隙や体腔にたまり浮腫みが生じます。

 

他に主な症状は口の渇きであり、筋肉のひきつり・けいれんなどを起こすこともあります。一方、生理食塩液やリンゲル液の急速点滴静注などにより急性的に高ナトリウム血症が起きた場合は生体適応が追いつかず、細胞内脱水となり神経障害や脳障害が起きやすくなります。

 

多くの高ナトリウム血症は、水分の摂取不足や下痢・利尿薬の摂取など、体内の水分不足が原因となっています。入院患者でナトリウムを含む点滴が続く場合にも起こり得ます。

 

食事からの塩分過剰により治療が必要な高ナトリウム血症が起こることはまれですが、誤飲や乳幼児・高齢者に対する食塩量には注意が必要です。

 

高ナトリウム血症が疑われた場合、血清ナトリウム濃度を血液検査により測定することで診断が行われます。治療は、症状が軽微で消化管に問題がない場合には経口により水分を補給します。経口が難しい場合や症状が強い場合には、水分の静脈内投与を行います。

 

急激にナトリウム濃度を下げると脳損傷が起きることがあるため、通常は時間をかけて投与されます。高ナトリウム血症は、特に高齢者で注意が必要な病気です。

 

水分をあまり摂らない方や寝たきりなどで水分補給を他者が行っている場合には、脱水が起きやすいため意識して水分を摂るようにしましょう。利尿薬を服用している方で口の渇きが気になる場合には、早めに主治医に相談してください。

 

健康な成人でも塩分(ナトリウム)の過剰摂取が続くと、口の渇きや浮腫みが出ることがあります。ナトリウムの過剰は血圧を上げるだけではなく、ガン・脳梗塞や腎機能障害のリスクを高めます。ナトリウム過剰を防ぐためには、1日の塩分摂取量を6g以下にすることが望まれます。(WHOの減塩目標は5gです)